今回はちょっと昔話を。
以前にも書いたけど僕は一応、クリエティブな仕事をしている。
そんな僕の会社が去年の夏、事務所を移転した。(前の事務所もすぐ近くやけど)
その時に日々仕事現場でお世話になっている方々を集め、花火大会の日にパーティーをした。
そのパーティーにスペシャルなゲストとして、ある書家の先生をお招きした。
彼とは、僕の会社が沖縄に社員旅行に行った時に偶然、出会った。
彼はホテルでTシャツに特製の墨で名前や絵などを描いて、それを売っていた。
もの珍しく、うちの社員が何人か描いてもらい、そこから意気投合。
一緒に仕事するまでなったのである。
パーティーは大盛況!(多分・・・)
僕は一人ずっと先生と話していた。
彼の話はとてもいい。全てが抵抗なく、僕に吸収されていく。
「歴史や伝統、もちろん社会のルール。それを重んじるのはいいけど、守っているだけじゃ
何も生まれない。僕たちはクリエイターなんだから、そんなものぶち壊していかないと。
そして新しいものを創ろう!言い方悪いけどね。」
頷くしか出来なかった。
自分のくそ甘さを痛感。そーやん。それをやりたかったはずやのに…
先生は僕の目を見て離さなかった。
窓越しに見える最後の花火の様子がまるで一枚の絵の様だった。
パーティーは朝の4時まで続いた・・・
翌日。
先生を見送りに、うちの社長と先輩と僕の三人で空港まで行った。
先生は笑顔で楽しかったよと言ってくれた。
次はいつ会えるんだろう。そう心に思いながら、手を振って見送った。
そして、三人で帰っている途中、社長が僕に話した。
「実は、先生の奥さんが今にも子供を産みそうなんやって。
でも、母子共に状態が悪くて、医者には奥さんか子供のどちらかを取るしか無いと
言われてるらしい。
先生はすごく悩んで、子供を取る!って、おとついに決断して、
そんな中、俺たちに会いに来てくれたんやで。
先生は最初、こっちに来るのを断ろうとしてたんやけど、奥さんが
『あなたの大切な人たちなんでしょ?めったに無い機会なんだから行っておいで』と
先生を送り出したんやと。」
そんな素振り全くしてなかった。ずっと笑顔で僕と話してくれてたのに・・・
それから2日後の夜。先生からメールがきた。
タイトルは「笑ったよ」。子供が元気に産まれたようだ。
そして、奥さんも元気にしているらしい。
本当によかった。先生が赤ちゃんを抱いている姿が目に浮かぶ。
次にあった時は、赤ちゃんの自慢話を聞いてあげようと思った。
『一兎追う者は二兎を得る。』
二兎追うものは、
一兎も得ない。
一兎を懸命に追えば、
もう一兎は後からついて来る。
(コメント)
人間は同時に色んな事出来る程、
器用じゃないと思う。(広い意味でね)
一つの事を頑張ってやってれば、
結果、一つ以上の事を得ているのでは無いかと…
「一生懸命」という言葉は実は意味が深いのではないでしょうか。
先生、元気かなあ。